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梓 初逢瀬(その12)

梓(あずさ)の中から、そっと指を抜き、
右腕で彼女の身体を優しく抱く。

5分ほどもそうしていただろうか、
徐々に呼吸の調子が整い、
ようやく梓が身動ぎをした。

身体を離して彼女の顔を見る。
イった後の女性の顔は、
寝入る寸前のように、
表情から固さや取り繕うような意図が抜けて、
なんとも言いがたい穏やかさがある。

梓の顔にもそんな表情が浮かんでいるのを見て、声をかける。

「よくがんばりましたね。」

眠りから覚めるように目をパチリと開く梓。

「…なんだか真っ白な世界でした。」

「イけたと思いますか?」

「うーん、どうなんでしょう?
  でも、初めての感覚でした…
  あっ!」

「どうしました?」

梓が右手を見せてくれた。
中指のネイルが剥がれてしまっている。

「あらら、大丈夫ですか?」

「そろそろサロンに行こうと思っていたので…
こんなに、なるまでシーツを握りしめていたなんて、
私、本当に夢中だったんですね…」

「…さて、ひとやすみしましょうか。」

バスタオルを渡して、梓の身体を起こす。
そして、冷えたお茶を載せたテーブルを囲んだ。

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斉藤 ジュン

Author:斉藤 ジュン
逢瀬を重ねるたびに快感を深めていく女性の姿を綴っていきます。

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