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梓 初逢瀬(その1)

新幹線も止まる大きな駅は、
夕方の通勤客の人波に洗われていた。

有名な待ち合わせスポットである、
とあるモニュメントの前には、
人待ち顔の多くの男女が佇んでいる。

 私は、思ったより仕事がスムーズに進み、
夕食の買い出しも済ませて、
約束の時間より15分も早く、
待ち合わせ場所に着いていた。

 梓(あずさ)からは、
30分ほど前に、「順調に向かっています。時間どおりです。」
という簡潔なメールをもらっていたので、
安心して周囲の人間観察にいそしむ。

 普通の恋人同士の屈託のない様子、
ワケ有りの男女のいわくいいがたい雰囲気。
これからお会いする梓との組み合わせは
傍目にどう見えるのだろうかといった、
どうでもいいことに思考を飛ばしていた。

目の前の改札口からは、電車の到着に合わせて、
数分ごとに波のように多くの人が吐き出されてくる。

そんな中に、
事前に知らせてもらった服装の梓を見つけたのは、
待ち合わせ時刻の5分前だった。

こちらはスーツ姿なので、
多くの待ち合わせの他の男たちに埋没してしまって、
彼女からは全く識別できないだろう。

 梓が目印のモニュメントの下に立つ。
これから見知らぬ相手に会うという、
心の準備を整えたのを表情から察して、
笑顔で声をかけた。

 「こんばんは。梓さんですか? ジュンです。」

いつもながらこちらも緊張する一瞬だ。
幸い、ネガティブな表情は浮かばなかった。

 「あ、梓です。…よろしくお願いします。」

 緊張のせいか、
これから私に身体を開くという意味の言葉を
口にしてしまっているが、
当人は意識していないだろう。
丁寧に意思確認をしておく必要がある。

「はじめまして。
  今日は、来ていただいてありがとうございます。
  最初にお尋ねしますが、
  私が、生理的に受け付けないという場合は、
今おっしゃってください。」

「はい。」

笑顔のままで尋ねなおす。

「…えーと、ダメということですか?」

梓はあわてて言い直す。

「あ、いえ、大丈夫です。」

「私で大丈夫でしょうか?」

「はい! お願いします。」

もともと明るい性格の女性なのだろう。
ずいぶん元気な返事が返ってきた。

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斉藤 ジュン

Author:斉藤 ジュン
逢瀬を重ねるたびに快感を深めていく女性の姿を綴っていきます。

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