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ホテルのチェックインを済ませ、
部屋に向かうエレベータで二人きりになる。
無表情で黙っている美樹が気になるが、
こうしてホテルの部屋に向かっているということは、
少なくとも嫌ではないのだろう。
部屋に入り、上着と靴を脱いで、
テーブルを囲む。
少しアルコールを飲みたいということだったので、
軽くて甘いお酒とちょっとしたつまみを並べ、
腰を据えて話を聞くことにした。
しかし、色々と話を振るが、
なかなか会話がはずまない。
半時間ほど話題探しに悪戦苦闘して、
唯一盛り上がったのは、
キャンペーンガールとして派遣されたイベントでの、
カメラ小僧やカメラ親父の悪行についての愚痴。
ここに書くのははばかられるほどの、
罵詈雑言をたっぷりと聞かされる。
黙っていられるよりはいいかと思い、
笑顔で相槌をうっていると、唐突に美樹が言った。
「シャワー浴びてきていいですか?」
このまま気まずい雰囲気のままだったら、
どうしようかと途方に暮れていたので、
彼女の申し出は渡りに舟だ。
「どうぞごゆっくり。」
バスルームに消える美樹にハンガーを手渡し、
部屋の準備にとりかかる。
部屋の照明を極力落として、カーテンを開く。
22階からの夜景は、
目の前のターミナル駅に
ひっきりなしに電車が発着する
ダイナミックなものだ。
ベッドカバーをまくり、
サイドテーブルの上に定番の道具を並べて、
準備を終えた。