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美樹 一期一会(その1)

性感について真剣な悩みの抱えている女性は多い。
これまでお相手してきた女性の概ね7割は、
お悩み系とでも言うべき、そのような女性だった。

残りの3割はというと、Hが好きで単純にHを楽しみたい、
という率直な願望をお持ちの女性達だ。
「女性の性感の追求」なる看板を掲げている以上、
人並み以上のHができると期待して、
コンタクトしてきてくれる。

ある意味、こちらにプレッシャーのかかるお相手ではあるが、
それを理由にお断りするほど無欲でもない。
普段のHの相手には不自由していないだけあって、
世間一般的な視線で、レベルの高い容姿の女性が多い。

今回会うことになった美樹も、
そんなタイプの女性だった。

彼女は、待ち合わせの時間に10分近く遅れてやってきた。
少し前に、遅れる旨のメールをもらってはいたので、
すっぽかしの不安はなかったが、
このタイプの女性にしては律義な方だ。

現れたのは小柄ながら
メリハリの付いたプロポーションの、
勝気なメイクが印象的な女性。

常に男の視線を意識しながら、
オンナを満喫している雰囲気が伝わってくる。

「こんばんは。はじめまして。ジュンです。」

声をかけると、美樹はこちらを一瞥して、
特に表情を変えずに、目線をそらして素っ気なく答える。

「あ、よろしく。」

これは、ごめんなさいパターンかと警戒して、
率直に切り込む。

「おっと、ご期待に沿えませんでしたか?」

「別に…」

彼女の答えは、予想とは異なっていた。
ただ、重ねて正面からたずねる。

「私が生理的に受け付けられなそうなら、
今、おっしゃってくださいね。」

「…ええと、移動しませんか?」

少し不機嫌そうな声で答える美樹。

「お茶にしますか?」

「ホテルでいいです。」

ぶっきらぼうで、かみ合わない会話だが、
ともかくもホテルに行くことは同意してくれたようだ。

彼女のテンションの低さの原因に考えを巡らせながら、
ホテルに向かって歩きはじめる。

美樹は、微妙な距離を保ちながら、
それでも離れることなく、
駅前の通りをはさんだホテルまでついてきた。

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斉藤 ジュン

Author:斉藤 ジュン
逢瀬を重ねるたびに快感を深めていく女性の姿を綴っていきます。

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