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弥生 初逢瀬(その3)

「それではシャワーを浴びましょうか。」

一線を越えることを、さりげなく促す。

「荷物はバスルームに持って入ってくださいね。」

本名も知らない間柄なのだから、
この方が、お互いに気を遣わなくて済む。

おずおずとバスルームに向かう弥生に、
部屋に備え付けのハンガーを手渡して、言う。

「ごゆっくり。」

シャワーの水音が聞こえてきたところで、
部屋の支度を整える。

ベッドカバーをはがして、
照明を暗くし、枕元には小道具。

コンドーム、ローション、スティックローター、目隠し、綿ロープ。
特別なリクエストがない限り、概ねいつもこのセットだ。

長めのシャワーを終えた弥生は、
バスタオルの下に下着をしっかり着込んだ姿で、
バスルームから戻ってきた。

「私も済ませてきますので、のんびり待っててください。」

心の中で苦笑しながら、
自分もシャワーを浴びる。
ここで女性を長く待たせてはいけない。
手早く身体を洗い、歯を磨いて、マウスウォッシュを使う。

バスルームを出ると、
弥生は、ベッドの端にちょこんと腰かけて、
少し不安そうな顔で待っていた。

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斉藤 ジュン

Author:斉藤 ジュン
逢瀬を重ねるたびに快感を深めていく女性の姿を綴っていきます。

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