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伊緒里からは、泊りでの逢瀬の希望があったが、
どうしても私の都合がつかない。
やむなく、ホテルは宿泊で予約するが、
私は未明に失礼するという予定で逢瀬の当日を迎えた。
湾岸エリアに立つ今回のホテルは、
モノレールの駅と直結している。
終電後の帰宅の足を確保するために、
車をホテルに駐車してから、
待ち合わせの駅の改札口に向かった。
夕刻の湾岸エリアの駅は、
近隣のオフィスビルからの帰宅客の数は多いが、
降りてくる人の数は少ない。
目印の黄色いコートの伊緒里は、
すぐに目にとまった。
こちらに気づいていない彼女に近づいて、
声をかける。
私もほとんど伊緒里の顔を覚えていなかったが、
彼女もそれは同様だったようだ。
「…斉藤、さんですか?」
「ええ、ごぶさたしてます。」
「あ、お久しぶりです。」
「思い出しましたか?」
「…記憶とちょっと印象が違うなーと。」
「それは、お互い様ですよ。
こんなに可愛かった女性だったかなと、
声をかけるのにためらいました。」
「あはは、
そのお上手なところは記憶のとおりです。」
「思い出していただいてうれしいです。
…私でよろしいですか?」
「はい(笑)」