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今回使うホテルは少し古いものだが、
客室のリニューアルが終わったばかりで、
インテリアは一新されている。
元々シングル2室だった部屋の間の壁をぶちぬいて、
1室の部屋にしたようで、
都心のホテルのダブルルームにしては広く、
高層階ゆえに、2つ並んだ窓からの眺めもよい。
靴を脱いでテーブルを並んで座る。
「ふぅ…」
暑いさなか、都会の人込みを縫って歩いてきたせいか、
二人揃って同じタイミングでため息をついた。
あまりにシンクロしたお互いの動作に、
顔を見合わせて少し笑う。
初逢瀬のときの固い表情と比べると、
印象はずいぶん柔らかくなったが、
まだ少し緊張している様子も伝わってくる。
今回は躊躇なくアルコールの力を借りて、
遥の心をほぐすことにした。
「いやー、ほんとに暑かったですね。
こういうときはやっぱり…
ビールじゃないですか?」
「ええ… そうですね。
いただきます。」
前回聞いていたお好みの銘柄のビールを冷蔵庫にしまいこんで、
その銘柄と味の傾向が似ていて、
ちょっとマイナーなものを出した。
「これをちょっと試してもらおうと思ってたのです。」
つまみの惣菜のパッケージを開けて、
ビールをグラスに注ぐ。
もろもろの準備が整い、
グラスを掲げて乾杯。
「ん! これ美味しいですね!」
「おっ、お好みに合いましたか?
がんばって選んできた甲斐があります。」
ほとんど一息で空いてしまった遥のグラスに、
ビールを注ぎ足す。
今回も逢瀬は飲み会から始まった。