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バスルームで身支度を整える。
といっても、シャワーは夕食前に浴びたので、
歯を磨くだけだ。
歯ブラシを使いながらふと鏡を見ると、
私の背後にくっついて、
頭の横から顔をのぞかせている麻実と
鏡越しに目があった。
彼女の目が笑っている。
「どうしましたか?」
「えへへー。
なんか楽しいです。」
「顔に書いてありますよ。」
「えっ、そうですか。」
「今からしかつめらしい顔してもだめです。」
「えー(笑)」
歯を磨き終わって、口をすすぐ。
麻実の方に向きなおって、
腰に手を回し、軽くキス。
眼を閉じてそれを受け入れ、
私の身体に腕をまわしてくる彼女。
すっかり恋人同士の甘い雰囲気だ。
これはこれで楽しいが、
これ以上恋愛的な雰囲気を深めてはいけない。
結局、最後につらい思いをさせてしまう。
唇を離し、
少し素っ気ない素振りでバスルームを出る。
逢瀬用のお道具袋を漁り、
底に埋もれていた衣装を引っ張り出す。
まだ封も切っていなかったが、
値札だけは剥がした。
バスルームで待っていた麻実に、
袋ごと手渡して言う。
「これを着て、出ておいで。」
彼女が袋を開ける前に、
バスルームの扉をそっと閉めた。