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弥生との初めての待ち合わせは、
都内のターミナル駅の改札だった。
女性との待ち合わせには遅くとも
5分前に着くようにしているが、
電車が遅れてちょうど5分前になってしまった。
待ち合わせ場所のモニュメントの前には、
たくさんの人待ち顏の人々の中で、
事前にメールで知らせてきたとおりの
服装の女性がたたずんでいた。
そっと近寄って声をかける。
「弥生さんですか。」
少し驚いたような表情で私の目を見て、
次に少しホッとしたような様子を見せた。
「ジュンです。はじめまして。」
そんな改まったあいさつから、
天気のことや待ち合わせ場所までの出来事といった、
他愛のない会話。
少し話して、緊張がほぐれてきたところで、
彼女にたずねる。
「立ち話もなんですので、
ホテルに移動しようと思います。
…私で、大丈夫ですか?」
いつものことだが、緊張する瞬間だ。
ただ、どんな女性にも生理的に受け付けない相手はいる。
そんな相手との逢瀬は苦痛でしかないだろうし、
私自身も楽しめない。
ただ、今回は最初に彼女が見せた表情で、
答えはわかっていた。
すこし恥ずかしそうに、彼女は答える。
「大丈夫です。」